数年前の話だが、
カフカの「変身」を読んだ。
内容を要約すると、
主人公はグレゴール・ザムザ。
彼は朝目覚めると毒虫になっていた。
元々はセールスマンで家族のために働いていた。
働きにいかねばならないが、体は化け物。段々と声が出なくなってしまう。
そして、虫けらになったグレゴールに対し家族も冷たくなってゆく。
だが、妹だけは彼を甲斐甲斐しく世話をしていた。
働き手がいなくなったザムザ家は生活が苦しくなり、部屋を3人の男に貸し出す。
しばらくすると、賃貸人が虫となったグレゴールになった彼を見つけてしまう。
そして、賃貸人たちはザムザ家を出て行ってしまう。
とうとう妹にまで見捨てられてしまう。
その後グレゴールは息を引き取り、家族は新しい場所へと希望を持って旅立つというストーリーである。
今思えば、グレゴールは私だなと思った。
私にとっての朝は、大学を卒業してから社会に出ることであった。
社会では、複雑なコミュニケーションが求められる。
私と他人の違いが浮き彫りになる中、
周囲は段々と冷たくなってゆく。
私なりに一生懸命生きてはいるが
日に日に奪われてゆく自己肯定感。
居場所がどこにも感じられなくなった。
まるで私は毒虫になったかのようだ。
行先は彼のように死かそれとも希望の人生か。
先の展望はまだ見えない。
でも叶うなら希望のある人生を生きたい。